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乙女小説

【倒立する塔〜】の中に出てきた乙女小説作家、吉屋信子の名前を最近どっかで見たなと気になってたら封殺鬼シリーズだった。

封殺鬼シリーズはキャンパス文庫で出ていた霜島ケイさんの小説。
現代に生きる鬼二人と、彼らを使役している陰陽師たちの話。
平安時代、人間だった二人が人を喰らって鬼(酒呑童子、雷電)となった。
京の都や大江山で悪名を轟かしていた二人をある日安倍晴明が説き伏せ、二人はその後清明の使役鬼となり、彼の死後もその教えを守りながら千年もの時を生きてきた、という設定。
陰陽道の裏・御三家の使役鬼として保護されるかわりに彼らの命令に従っている。
千年経っても老いることのない孤独だったり(酒呑童子には鬼の仲間はいたが年をとらない者はいなかった)、それ故に互いを喪うことへの生半可じゃない怖れがあったり、堅物で時には非情にしか振る舞えない鬼の抱える闇とか、それをカラッとした関西弁で吹き飛ばす(うっかり家も壊す)めちゃくちゃノーテンキな鬼の片割れとか。
彼らを取り巻く人々がまた味があって面白い。
めちゃくちゃおすすめだけどオリジナルの第一部はもう手に入りにくいのかな。
で、第一部平成版が終わった後、今は昭和初期編をやってる。

その「封殺鬼 鵺子ドリ鳴イタ」の4巻の中で主人公の少女、神島桐子が使役している堅物の方の鬼(雷電)への罰として毎日この乙女小説を「朗読」するよう命じて後悔するっていうシーンがあって、かなり笑える。
吉屋信子の小説には主に少女達の同性への友情以上恋人未満な淡い憧れが描かれてる…らしい。
「倒立〜」の方はそういう小説に憧れる少女たちの話だったけど、桐子は乙女と呼ばれる年齢ながらそういう趣とは相容れない性格。
陰陽師としての才能を認められ、10歳にして神島家の当主になったほどの実力者だけど、常に周りには術者や二人の鬼、つまり大人しかいない環境。
堅物の鬼がどんな顔で乙女小説を読むかとイタズラ心で命じたが、表情ひとつ変えず淡々と読み続ける鬼に、逆に根をあげる桐子。
「女学生同士、何故花の名で呼び合わねばならんのだ」と鳥肌を立てる、乙女心のかけらもないシーンが好きだ。

平成版では当然のように無敵の婆様になっている桐子の十代の頃のお話。
二部からでも十分楽しめると思うな。
ルルル文庫で絶賛発売中です(なぜか宣伝)

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